2013年6月18日、遺族が冊子「学校が守るべきいのち」を作りました。

 事故当初の静岡側の対応はどうだったのか、遺族が提訴するまでの、豊橋市教育委員会、学校、市長、市議会の対応はどうだったのか、私たち遺族はどう感じていたのか、民事裁判で何が見えてきたのか、今、関係者は何をしなければならないのか、現状はどうなのかなど、「学校が守るべきいのち」と題して、学校事故の再発防止と風化防止を願って、遺族が一冊の冊子にまとめました。

 

 特に学校関係者の方々に読んで頂きたく、2010年6月18日の浜名湖で起きたあの事故をもう一度見つめ直し、二度と起こしてはならない思いを新たにし、永遠に語り継いでくれることを願っています。 

 

風化させない、繰り返さない
豊橋章南中ボート事故の記録
西野さんの両親が冊子作る
 

 2010年6月に浜名湖で起きた章南中学校カッターボート転覆事故が18日で3年を迎える。事故で亡くなった西野花菜さん(当時12歳)の両親・友章さん、光美さんが、事故の記録などをつづった冊子を完成させた。友章さんは「事故を風化させず、二度と繰り返してはならないという思いで作った」と話す。
(川口直康)

 冊子は「学校が守るべきいのち~豊橋市立章南中学校浜名湖カッターボート転覆事故3年間の記録~」と題し、事故発生から事故後の豊橋市の対応、海難審判や市との和解などが細かく記されている。
 友章さんらは、事実を教えず、責任をあいまいにしている市の対応に不信感を募らせ、「5年、10年たてば事故のことが忘れられてしまうのでは」という危機感から冊子の作成を決め、約5カ月かけて完成させた。
 冊子は児童向けではなく、あくまで学校の教員向け。友章さんは「命を預かるということが、どういうことなのかを考えてほしくて、学校の先生のために作った」と語る。
 冊子は市内の全小中学校と静岡県教委などへ寄贈。20日には友章さんが直接、豊橋市の加藤正俊教育長に手渡す。
 花菜さんが亡くなり3年目の命日を迎えた18日、取材に応じた友章さんは「事故で大きく人生が変わった。3年たっても時間が解決してくれたことは何もない」と静かに話した。

 豊橋市章南中学校のカッターボート転覆事故で生徒の西野花菜さん(当時12歳)が亡くなって丸3年を迎えた18日、同市の小中学校で「豊橋・学校いのちの日」として命の大切さについて考える授業や体験活動が行われた。
 各学校は、外部から講師を招き「いのち」をテーマにした講話や校内の安全点検などを実施した。
 章南中学校では、花菜さんへの黙とう後、教職員に危機管理意識に関する講話などを行い、命の尊さを学んだ。
 「豊橋・学校いのちの日」は、事故を風化させることなく、再発防止の徹底を図るなどの趣旨で花菜さんが亡くなった翌年から設けられた。各学校は6月18日を中心に「いのち」にかかわる取り組みを行っている。