2015年1月28日 元所長が在宅起訴されました

 

花菜の事故について、静岡地検が昨日、元所長を在宅起訴、元校長ら5人を嫌疑不十分で不起訴としました。元施設所長の裁判は早ければ2月にも始まります。その行方をしっかり見守りたいと思います。また、元校長の不起訴については、残念です。法廷で事実関係を明らかにし、学校の責任を皆で考えることが反省を生み、さらなる再発防止につながると信じています。当然、検察審査会への審査申し立てを検討しています。

 

(静岡新聞より引用)

元所長を在宅起訴 浜名湖・ボート転覆

 2010年6月、浜名湖で県立三ケ日青年の家(浜松市北区)のボートが転覆し、豊橋市の女子中学生=当時(12)=が死亡した事故で、静岡地検は28日、業務上過失致死の罪で青年の家の元所長(56)=東京都杉並区=を静岡地裁に在宅起訴した。同容疑で書類送致されていた、当時の県教育委員会課長や中学校長ら5人については、嫌疑不十分で不起訴処分にした。
 起訴状によると、元所長は女子中学生らが乗ったボートをモーターボートでえい航中、ボート内に滞留した水を、乗船する教諭にくみ出させるなどして傾斜を抑制させる注意義務があったのに、教諭に指導せずに漫然とモーターボートを操縦。左側に傾いたボートを転覆させたとされる。
 元所長のほか、県警は13年2月、緊急時のえい航要領を定めていなかったなどとして指定管理者の東海地区担当社員、県教委社会教育課の課長と担当職員(肩書はいずれも当時)の計3人を、当日の天候予測が不十分だったなどとして青年の家の所員と中学校長(同)の計2人を、それぞれ業務上過失致死容疑で書類送検した。
 しかし、地検は5人とも、「えい航船の過失行為という事故原因を具体的に予見するのは極めて困難」(次席検事)で、罪の立証に必要な事故の予見可能性は認められないとして起訴を見送った。
 女子中学生の父(55)は校長の不起訴処分に対し、検察審査会への不服申し立ても視野に検討する考えを示した。

◇5人不起訴 「予見」など認めず
 静岡地検が28日、事故の直接的な原因を引き起こしたとされる元所長以外の5人全員を不起訴処分(嫌疑不十分)とした理由には、過失罪の立証に必要な「具体的予見可能性」と「結果回避義務」がともに認められない、との判断があった。
 地検は事故原因を、滞留水の排水指示を怠るなど「ボートをえい航した元所長の過失行為」とした上で、5人がこうした事故の本質的な原因を「具体的に予見できたと言える証拠はなかった」とした。
 結果回避義務は、予見できた事故を回避する義務のこと。そもそも予見可能性が立証できなければ成り立たない義務だが、地検は仮に事故が予見できたとして検討した。
 県教委の担当課長ら施設を安全に管理する立場の3人については、従前から、ある程度の事故を想定した訓練を行っていたことや、同様施設の訓練状況を踏まえ、今回のような事故を回避するまでの義務は認められないとした。事故は予見可能で、緊急時のえい航要領の不備などがあり、防ぐべき事故を防げなかったとした県警とは判断が分かれた格好だ。
 地検は事故当日、現場にいた青年の家の所員と中学校長についても、訓練実施の可否を判断する立場になく、結果回避義務は認められないとした。

◇女子中学生父 起訴1人に「残念」
 2010年に浜名湖で県立三ケ日青年の家(浜松市北区)のボートが転覆し、豊橋市の女子中学生=当時(12)=が死亡した事故で、静岡地検が28日、業務上過失致死の罪で在宅起訴したのは同施設の元所長(56)一人にとどまった。元校長ら5人の不起訴処分を受け、女子中学生の父(55)は「残念です。私たちの思いからは納得できない」と複雑な心境を口にした。
 女子中学生の父母は事故後、安全管理意識の向上を願い、事故の資料をまとめて冊子を作るなど、再発防止に取り組んできた。同時に、学校の責任が明らかになることを期待してきた。それだけに、元校長の不起訴には「学校に責任はなかった、と思われてしまわないか」(父)との危惧があるという。
 一方、元所長は「(亡くなられた女子中学生には)決して許されないことをした。起訴を真摯(しんし)に受け止め、公判では率直に対応する」と語った。安倍徹県教育長は「二度とこのような事故を起こさないよう安全対策に万全を期す」とのコメントを出し、豊橋市教委学校教育課の担当者も「事故の再発防止と安全管理の徹底に努めたい」と話した。
 青年の家の指定管理者だった企業(東京都)は「会社として責任を痛感している。あらためて深くおわび申し上げる」とした。

 

(引用おわり)