那須 雪崩事故から2年目、「学校行事、なぜ続く」遺族の切実な願い。


「自然の中での活動は不確定要素が多く、漫然と行っていては危険が伴うことを、学校は強く認識すべきだ」(西野友章)


<読売新聞より引用>

 

(2019年3月27日記事転記)

 

 絶対に安全でなければならないはずの学校行事で、わが子をなくしてしまった悔しさ。那須町の雪崩事故で亡くなった生徒らの遺族は今も「どうしたら事故を防げたのか」と問い、「責任のある立場の人が反省し、自らの言葉で説明すべきだ」と求め続けている。

 

 その思いは、那須雪崩事故以外の遺族でも同じだ。

 

 愛知県豊橋市の西野友章さんは、2010年6月、浜名湖(浜松市)での体験学習中に起きたボート転覆事故で、中学1年だった娘の花菜さん(当時12歳)を亡くした。

 

 「花菜の時と同じだ。どうして繰り返されてしまうのか」。西野さんは、那須雪崩事故について報じるテレビニュースを見て、そう思ったという。

 

 花菜さんを含めた生徒18人と教諭2人は事故当時、手こぎのカッターボートに乗っていた。だが、ボートは雨と強風で身動きが取れなくなり、救助に向かったモーターボートでえい航中に転覆した。19人は救出されたが、花菜さんは逆さになったボート内側に取り残されて見つかり、その後に死亡が確認された。

 

 西野さんは「自然の中での活動は不確定要素が多く、漫然と行なっていては危険が伴うことを、学校は強く認識すべき」と訴える。

 

静岡県警は13年2月、訓練を行った、当時の県立施設の所長や中学の校長ら6人を業務上過失致死容疑で書類送検したが、静岡地検は15年1月、元所長だけを在宅起訴した。西野さんは、元校長の不起訴を不服として検察審査会に審査を申し立て、不起訴不当議決を得たが、地検は再び不起訴とした。

 

 西野さんは「花菜は学校行事で亡くなった。学校に責任があることを明確にしてほしかった」と振り返る。

 

 事故から間も無く9年。西野さんは若手教員向けの研修で事故について話すなど、再発防止に向け積極的に取り組んでいる。

 

 「花菜の死も、雪崩事故で亡くなった生徒さんたちの死も、絶対に無駄にしないでほしい。再発防止こそが私たち遺族の切実な願いです」と力を込めた。

 

(引用おわり)