転覆事故から6年、花菜に会えなくなって6年、各地で風化防止活動が行われました。


 

毎年6月18日は、豊橋市内の全小中学校74校で「豊橋・学校いのちの日」として、学校の自然体験学習で発生した中学一年生だった西野花菜の死亡事故に対して、風化防止の取り組みが行われます。

 

学校が花菜を守ってくれなかったあの日、学校はその結果の反省に立ち、再発防止の努力を重ねた結果、どのように変わったのか、変わってないのか、現状を分析し、改めて二度と繰り返さないことを誓う日にしてほしいと思います。

                                   

西野 友章

 


<朝日新聞より引用>

 

<花菜さんへ届け 黄色い風船>

<浜名湖事故6年「風化させぬ」>

 

 浜松市の浜名湖で野外活動の授業中にボートが転覆し、豊橋市立章南中学1年の西野花菜さん(当時12)が亡くなった事故から18日で6年になった。同校の生徒338人が悲惨な事故を忘れないことを誓い、花菜さんをしのんで黄色い風船を飛ばした。

 

「学校開放の日」のこの日、生徒や教職員、保護者らは花菜さんに黙とうを捧げ、事故の再発防止を誓った。山本武志校長は「事故を風化せず、安全対策のリーダー校となれるよう全力を尽くす。みなさんは命の大切さを伝えられる人になってほしい」と訴えた。

 

 風船を飛ばすのは今年が4回目。新川和江さんの「生きる理由」を全員で朗読した後、「KANA SMILE」と書かれたメッセージカードをつけた風船を一斉に放ち、花菜さんに手を合わせた。生徒会長の彦坂昇さん(3年)は「今ここにいることを感謝し、強く生きていきたい」と話した。

 

 同市教育委員会は毎年6月18日を「豊橋・学校いのちの日」とし、各小中学校で命を見つめる授業や避難訓練、海岸の清掃活動などに取り組んでいる。

 

                            

<引用おわり>

 


6月18日迎え、

三ケ日青年の家へのメッセージを届けました。


 (三ケ日青年の家へ)

 

<6月18日を教訓に>

 

また嫌な6月18日が来ます。

花菜に会えなくなって、ずいぶんと時間が流れたようでもあり、時間が止まったままのようでもあります。あの日の信じられない出来事がよみがえったり、花菜と過ごしたかけがえのない時間が思い出されたり、それらが怒りや悲しみと混ざって、不安定な感情があふれたりします。

 

社会は、防げたはずの命を失うたびに、「なぜ」を検証し、「繰り返さない」を誓ってきたと思います。しかし、特に、子どもが命を亡くす悲しい出来事はまだまだ起きているようです。事故当時から新たな運営に変わった三ケ日青年の家では、6年前の事故を教訓に、安全・安心に向けた絶え間ない努力を続けていると伺っております。この浜名湖で花菜を失った私たちは、その努力の言葉を具体的な行動として、ぶれることなく強い気持ちで、安全を最優先とした判断がどんな状況でもできるよう、常日頃から実践していただいていると信じています。また、三ケ日青年の家の取り組みが、全国の安全・安心モデルとなり、「繰り返さない」を実践できるように願っております。

 

今年高校を卒業した花菜の同級生が、親である私たちに、新たな生活の報告に来てくれます。それぞれの夢に向かって、着実に前に進んでいるようです。あの日の辛い経験を胸に秘め、頑張っている姿は、とても励まされます。辛い経験を強い力に変えていると感じます。

三ケ日青年の家でも、あの日の教訓をより良い未来にできると信じています。

 

2016年6月

西野 友(とも)章(あき)

西野 光(みつ)美(み)

 


 

<静岡新聞より引用>

 

浜名湖・ボート転覆6年 18日に追悼式

(2016/6/18 07:51)


 浜松市北区の県立三ケ日青年の家での海洋活動中に、愛知県豊橋市の市立中の女子生徒=当時(12)=が死亡した浜名湖ボート転覆事故から18日で6年を迎える。同日に青年の家で開かれる追悼式典では、浜松市立三ケ日中の生徒有志が女子生徒の追悼歌「未来(あした)へ」を合唱する。女子生徒への哀悼の意や事故の風化防止といった思いを歌に乗せる。
 「未来へ」は当時豊橋市の市立中で家庭科を教えていた女性教諭が事故の2年後に作詞した。「たくさんの出会いの中で君と出会えた幸せ」「ありがとうを言いたいよすべての命に」などと、女子生徒への思いや命の尊さを歌詞で表現している。
 本年度から海洋活動を再開した青年の家で三ケ日中1年生が再開後初めてのカッターボート研修に参加した縁から、青年の家が合唱を学校に提案した。学校が参加者を募集したところ、1年生の女子27人が手を挙げた。
 生徒有志は昼休みを利用して練習に励んでいる。浜口晴奈さん(12)は「多くの人のおかげでカッター研修を無事に終えることができた。その感謝を伝えたかった」と動機を話す。国原佳乃さん(12)はカッター研修中、ボートをこぎながら「女子生徒はどんな気持ちだったのだろう」と思いをはせたという。「あなたの分まで生きますと、女子生徒に届くように歌いたい」と意気込みを語った。
 練習を見学した県教委社会教育課の杉山智志指導主事(42)は「みんなと同じ年の子が6年前に命を落とした。彼女の夢や気持ちを受け継いで歌ってほしい」と生徒に呼び掛けた。
 <メモ>浜名湖のボート転覆事故 2010年6月18日、三ケ日青年の家で海洋活動中だった愛知県豊橋市の市立中の1年生18人と教員2人が乗ったボートがえい航中に転覆した。ボート内に閉じ込められた女子生徒が死亡した。事故後、国の運輸安全委員会からの勧告を受けて、県教委は安全対策マニュアルを策定。休止していた海洋活動を本年度再開した。

 

                              

<引用おわり>

 


 

<東愛知新聞より>

 

 天国まで届け黄色い風船 

ボート死亡事故から6年 花菜さんと命の重さ忘れない

 

 静岡県浜松市の浜名湖で野外活動中のボートが転覆し、豊橋市章南中学校1年だった西野花菜さん=当時12歳=が亡くなった事故から66年を迎えた18日、同中学校では全校生徒338人が黄色の風船を大空に飛ばし、花菜さんの冥福を祈った。

 

 朝、山本武志校長は「この事故を決して風化させることなく、あらゆる教育活動において命を第一に考え、安全を常に確保、安心して教育活動が展開されるよう努めてまいります」と教員らに訓示。

 

 その後の全校集会で、山本校長は全校生徒に「きょう一日、自分の命だけでなく、家族や友達、周りの人の命を大切にすることも学んでください」と語り掛け、全員で花菜さんへ黙とうをささげた。

 

 生徒らはこの日、道徳や授業や、娘を小児がんで亡くした鈴木中人さんの講演会などを通じて命の尊さについて勉強。午後には、生徒会主催でバルーンリリースを行った。

 3年の彦坂昇生徒会長が「ここにいることに感謝し、より強い気持ちで生きていきましょう」と呼びかけ、生徒らは花菜さんへ書いたメッセージ付きの風船400個を天国へ届くように青空へと放った。

 

 事故は2010(平成22)年6月18日、浜名湖で野外活動中だった章南中学1年の生徒18人と教諭2人が乗った手こぎボートが悪天候で漕艇不能となり、モーターボートでえい航中に転覆。全員が湖に投げ出され、逆さまになった船体内側に閉じ込められた西野花菜さんが溺れて亡くなった。

                                

 <引用おわり>