◆2014年8月21日 花菜の母光美が、絵本「夢があるっていい」を作成し、報道に公開しました。

 

 <以下2014年8月21日付け中日新聞記事>

浜松市の浜名湖で二〇一〇年六月、野外活動中のボートが転覆した事故で、娘=当時(12)=を失った愛知県豊橋市の西野光美(みつみ)さんが絵本を出版した。題名は娘の花菜(かな)さんが事故前日に書き残したメッセージ「夢があるっていい」。事故から四年余。真相解明や訴訟で慌ただしく過ぎ「やっと娘のためだけを考えて作ることができた」と語る。

 

 事故の数日後、帰ってきたのは、花菜さんの水色のかばんだけだった。中にあった野外活動のしおりに、花菜さんの「夢」が書かれていた。「私の将来の夢は医者だ。私はたよられる医者になりたいなと思った。夢があるっていい」

 

 その夢は、母のためだった。光美さんは十年ほど前に難病を患い、入退院を繰り返してきた。花菜さんは車いすを押したり、病院に書類を取りに行ったり、入院先でも母に付きっきりだった。光美さんは「最後まで、花菜の優しさに包まれていた」と振り返る。

 

 光美さんと夫の友章さん(55)は事故後、真相解明や再発防止を願い、署名集めや市議会への請願、豊橋市を相手にした訴訟に追われた。「ようやく自分の時間がとれるよう」になり、花菜さんが残したものを、小さな子にも分かるよう絵本にしたいと思った。

 

 昨年末から構想を温め、事故後、花菜さんに絵を送ってくれたイラストレーターに作画を依頼。花菜さんの思い出や事故のこと、父と母からの思いを二十四ページにつづり、かわいらしい絵を選んだ。光美さんは「悲惨な事故で花菜は怖い思いもいっぱいした。娘のために明るい、優しい絵本にしたかった」と話す。

 

 百部を印刷。図書館など市内の教育施設に置いてもらい、引率した教諭たちにも配るつもりだ。「花菜が残したメッセージを忘れないでほしい。それが結果的に風化防止になる」

(豊橋総局・小椋由紀子)

 

 

<2014年8月21日 東愛知新聞より>

天国の花菜さんにささげる絵本
「夢があるっていい。」母の光美さん制作

豊橋章南中ボート転覆事故前夜
書いた言葉をタイトルに
 浜松市の浜名湖で2010(平成22)年6月に起きた豊橋市章南中学のカッターボート転覆事故で、西野花菜さん(当時12歳)を亡くした母光美(みつみ)さんが絵本を制作した。タイトルは花菜さんが事故前夜に書いた言葉「夢があるっていい。」。両親は4年間、事故原因解明と再発防止に奔走してきた中で「花菜のためになにかやりたい」と光美さんが昨年12月から取り掛かった。
(飯塚雪)

 物語は難病を患うお母さんを明るく支えていた“花菜ちゃん”の乗ったボートが嵐の海に沈んでしまう。残されたカバンを開けると、中から事故にあう前に描かれた絵と将来の夢が書かれたしおりが見つかる。
 終盤、花菜ちゃんの将来の夢が医者だったと“お父さん”と“お母さん”が知る場面が登場する。事故後、初めて知った娘の夢に光美さんは「涙、涙でした」と振り返る。「病気のお母さんを助けたかったのかなと思う」と友章さんからは笑みがこぼれた。
 光美さんが細部にまでこだわった絵本(全24ページ)は、事故の悲しさよりも12歳の子どもらしい無邪気さと優しさにあふれた花菜さんの人柄が表現された。
 挿し絵は壁画家やイラストレーターとしても活躍する久保田裕美さんが担当。花菜さんが小学生から習っていた楽器をあしらった。各ページには花菜さんが大切にしていた手のり文鳥「ブーレ」が隠れる仕掛けを施した。
 光美さんは「花菜の夢は途絶えてしまったが、夢をかなえることができる命を大切にしてほしい」と話す。
 7月下旬に完成し、事故の原因解明に取り組む関係者らに寄贈している。

 

 

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