事故から5年、二度と繰り返されないことを祈っています。


<静岡新聞より引用>

<浜名湖・ボート転覆5年>再発防止策「教訓生かす」

 
 

 

 浜名湖で2010年、県立三ケ日青年の家のボートが転覆し、愛知県豊橋市の市立中1年の女子生徒=当時(12)=が亡くなった事故は18日、発生から5年を迎えた。事故では悪天候での出航判断の是非や転覆後の救助の在り方が問われた。県などの関係機関は、教訓を生かすための取り組みを進めている。

◇遺族「意識の継続」訴え
 事故当時、同施設は注意報レベルの活動中止基準をマニュアルに定めていなかった。国の運輸安全委員会の事故調査報告書で、この不備を指摘され、12年に新マニュアルを策定。「1時間あたりの降雨量が20ミリ以上」など訓練中止の具体的判断基準を盛り込んだ。
 14年度から指定管理者となった三ケ日フィールドパートナーズは月2回、さまざまな想定で救助訓練を実施。城田守所長(60)は「安全対策に終わりはない」と強調する。
 ただ、こうした中でも事故で中止した海洋活動の再開はめどが立たない。県教委は海洋活動を行う焼津市の県立焼津青年の家のマニュアルを見直し、活動中止の細かい判断基準を設けるなどしたが、三ケ日青年の家の海洋活動再開は「未定」(社会教育課)。担当者は「遺族や利用者の理解、所員の力量などいろいろな条件がある」と慎重に判断する姿勢を示す。
 豊橋市教委も事故を受け、市内各校に校外学習の実施計画や「次年度への安全管理上の引き継ぎ事項」の提出を義務付けるなど管理体制を強化した。こうした各機関の取り組みについて、事故の再発防止に奔走してきた女子生徒の父親(56)は「事故が起きない態勢が整ったと信じたい」と話す。一方で時間の経過や各機関の人事異動で最も大事な現場の危機管理意識が薄れることを懸念し「絶対に事故を起こさないという覚悟を持ってほしい」と訴える。

【浜名湖・ボート転覆事故経過】
2010年6月18日 浜名湖で県立三ケ日青年の家(浜松市北区)のボートが転覆し、野外体験合宿中だった豊橋市の市立中の女子生徒=当時(12)=が死亡する事故が発生
12年1月27日 国の運輸安全委員会が事故の調査報告書をまとめ、ボートをえい航した施設所長(当時)の知識・経験不足を指摘。県教委や指定管理者(同)に指導マニュアルの作成などを勧告
同5月1日 女子生徒の両親が損害賠償を求めて県と豊橋市、指定管理者を提訴。同年内に和解が成立
13年2月12日 細江署と県警が業務上過失致死容疑で所長ら6人を静岡地検浜松支部に書類送致
同3月26日 横浜地方海難審判所が事故をめぐる海難審判で、所長に小型船舶操縦士の業務停止2カ月の裁決を言い渡す
15年1月28日 静岡地検が業務上過失致死罪で所長を在宅起訴し、残る5人の不起訴処分(嫌疑不十分)を決定
同3月26日 静岡地裁で所長の初公判。所長は起訴内容を認める。弁護人は所長に加えて学校関係者らも含めた過失の競合を主張
同4月24日 第2回公判。冒頭陳述で検察側は所長の注意義務違反を重ねて指摘
同6月5日 第3回公判。女子生徒のボートに同乗していた元男性教諭の証人尋問
同17日 第4回公判。所長に引き継ぎをした県営時代の元男性所長の証人尋問

 

<引用おわり>

 


(2015/6/18 14:20)<静岡新聞より引用>

 

<浜名湖・ボート転覆5年>再発防止へ不断の努力誓う

 

 
 

 浜松市北区の浜名湖で2010年、県立三ケ日青年の家のボートが転覆し、野外活動をしていた豊橋市の市立中1年の女子生徒=当時(12)=が死亡した事故から5年を迎えた18日、同施設で県教委主催の追悼式典が営まれた。参列者が女子生徒の冥福を祈るとともに、再発防止への不断の努力を誓った。
 木苗直秀教育長ら県教委関係者と、城田守所長(60)ら施設の所員、地元関係者ら計約40人が出席。代表者が女子生徒の姿をイメージした少女の像に花を手向け、全員で黙とうをささげた。木苗教育長は「5年の月日が過ぎたが、今なお悲痛な思いと哀惜の念が込み上げる。(青少年教育施設について)今後もより一層安全な活動を提供する努力を重ねていく」と述べた。
 式典に先立ち、川勝平太知事も施設を訪れ、事故現場の湖に向けて手を合わせた。
 事故は10年6月18日、生徒ら20人が乗ったボートが悪天候で航行不能になり、モーターボートでえい航の途中に転覆。全員が湖に投げ出され、船体内に閉じ込められた女子生徒が死亡した。
 6月18日は県により「安全確認の日」と定められている。式典の後には、警察や消防との合同水難救助訓練を実施した。

 

                                

<引用おわり>

 


2015年06月19日 地方版 <毎日新聞より引用>

 

浜名湖ボート転覆:事故5年 天国に届け、黄色い風船 豊橋・章南中、花菜さん追悼 /愛知

 

 浜松市の浜名湖で校外学習中の豊橋市立章南中学校1年、西野花菜さん(当時12歳)が水死したボート事故から18日で5年を迎えた。この日を「学校いのちの日」に指定した豊橋市では全小中学校でいのちの大切さや防災を考える取り組みが行われた。章南中では全校集会で黙とうし、天国の花菜さんへ向け生徒約300人がメッセージカードを付けた黄色い風船を空へ放った。【吉富裕倫】

 全校集会で柴田祥宏(よしひろ)校長は「5年前のきょう、皆さんの先輩が楽しみにしていた野外活動で命を奪われた。この無念さを忘れてはいけない。20年後も30年後も伝え続けてほしい」と訴えた。

 「娘の命日を生徒たちの前向きな活動に使ってほしい」との遺族の意向を受け、同校は今年初めて避難所運営ゲーム(HUG)を実施した。校舎を大地震が起きた時の避難所、生徒たち自身をその運営者に見立て、避難者をどう受け入れ配置していくかを考えた。

 この日は雨天のため風船は校舎の窓から放たれた。メッセージカードには花菜さんの好きだった「Kind Smile(優しい笑顔)」という言葉と、「友情を大切にしていきます」などの決意を書き込み、花菜さんの冥福を祈った。

 ◇「私たちの時間、止まったまま」父友章さん

 西野花菜さんの父友章さん(56)は静岡市内で17日、毎日新聞などの取材に「先日、娘の同級生が来てくれた。高校3年生になり、運転免許を取ったり、進路に悩んだり喜んだりしていた。(生きていれば)同じような悩みや喜びを味わえたはずなのに。花菜の部屋は当時のままで、ご飯を食べる際も遺骨の一部を食卓に置いて一緒に食べている。私たちの時間は止まったままだ」と話した。【井上知大】

                         

<引用おわり>

 


 

<東愛知新聞より引用>

 

2010(平成22)年6月、静岡県の浜名湖で野外活動中に豊橋市章南中学校のカッターボートが転覆し、1年生の西野花菜さん=当時(12)=が死亡した事故からあす18日で5年となる。事故の再発・風化防止に奔走した両親の“時”は5年前から止まり、当時の校長や教員らへの不信感は変わらない。
(飯塚雪)

 豊橋市内の自宅にある花菜さんの部屋、習っていたピアノもバイオリンも当時のまま残る。両親は毎食3人分の食事を食卓に並べる。「私たちの時間は止まったまま」。
 事故後、真相究明を求める署名活動や、海難審判など事故原因の解明や関係機関へ事故防止を働きかけ続けた。教員らの責任を問うため豊橋市へ謝罪を求め、12年には市などを相手に損害賠償訴訟も起こした。
 風化防止のため章南中に両親が設置した「花菜文庫」には、今でも毎月積み立てる花菜さんの小遣いから定期的に本を購入し寄贈を続ける。
 今年1月、研修施設の元所長が業務上過失致死の罪で在宅起訴された。その一方で元校長らは不起訴。父・友章さん(56)は「現場にいた校長や教員らが行ったことに対して刑事裁判の中ではっきりさせ、花菜が亡くなった理由を知りたかった」と悔しさをにじませる。
 安全面を施設に任せ、大雨・雷・強風・洪水注意報が出された悪天候にもボート訓練の中止を求めなかった教諭ら。ようやく始まった裁判を傍聴し、元担任の証言から安全管理意識の欠如を感じ「花菜は学校に殺された」と痛感した。
 命日前日の17日には第4回公判が静岡地裁で行われ、今後元校長も出廷する。
 母・光美さんは傍聴席でいつも、ボート訓練前に宣誓をする不安そうな表情の花菜さんの写真を握る。「今は涙を我慢して、裁判を見ようと決めた」と娘が死ななければならなかった事実と向き合う。
 一方、これまで市教委は事故翌年に「校外学習安全マニュアル」を策定し、毎年改定してきた。活動実施判断基準や、児童・生徒名簿の作成、実施計画案の提出、利用施設の下見などを指導し、教員研修も開いてきた。
 しかし、数回の弔問で姿を見せなくなった教諭たち。「自分たちは悪くないと思っている。不起訴判断で法的な責任はなかったとの思いが強くならないか、花菜の死はなんだったのか」と友章さんは無念さをかみしめる。
 元校長への不起訴が不服だとして検察審査会への申し立ても検討する。願いは2度と事故を起こさないこと。「しっかり花菜の死を受け止めてほしい」。

                                   

<引用おわり>

 


<NHK静岡より引用>

 

ボート転覆5年 関係者が献花

 

静岡県の浜名湖で行われた県の教育施設の野外活動で、中学生など20人が乗ったボートが転覆し、女子生徒1人が死亡した事故から18日で5年になり、関係者が花を供えて黙とうをささげました。
平成22年6月18日、浜名湖で行われた静岡県の教育施設「三ヶ日青年の家」の野外活動に参加していた愛知県豊橋市の中学校の生徒と教師20人が乗った手こぎボートがモーターボートでえい航中に転覆し、1年生の西野花菜さん(当時12)が死亡しました。
事故から5年になる18日、浜名湖の湖畔にある施設に、県教育委員会の関係者や施設の職員など約40人が集まりました。
そして、亡くなった西野さんを慰霊する像に花を供えて黙とうをささげました。
続いて、県教育委員会の木苗直秀教育長が「野外活動を行う教育施設の重要さは年々増しているが、安全がすべてに優先することを忘れてはならない」とあいさつしました。
この事故ではボートをえい航していた当時の施設長がボートに水がたまり過ぎてバランスを崩さないよう注意する義務を怠ったとして、業務上過失致死の罪で在宅起訴され、静岡地方裁判所で審理が進められています。
現在の城田守施設長は「5年がたつと事故の記憶は風化してしまいがちだが、より安全な活動を目指すことを忘れないようにしたい」と話していました。

06月18日 12時36分    

<引用おわり>