豊橋市の中学校が、浜名湖での野外活動を再開するにあたり、遺族の思い、三ケ日青年の家所長の覚悟、豊橋市教育長の期待などを記事にしてくれました。ここからが新たなスタートだと感じます。


<静岡新聞より引用>

 

「命の教育」三ケ日で展開へ

 

豊橋の中学生 海洋活動参加

 

 浜名湖で2010年、県立三ケ日青年の家(浜松市北区)のボートが転覆し愛知県豊橋市立章南中1年西野花菜さん=(当時12)=が亡くなった事故は18日、発生から9年を迎える。同市の中学生による浜名湖での野外活動は再開の機運が高まりつつあるが、世代交代で当時を知らない教職員も増える中、学校管理下で発生した死亡事故の教訓を安全管理や命に向き合う教育の面からどう生かし引き継いでいくか、新たな課題が浮かんでくる。

 

 「事故前、自主性や忍耐力を養う教育目標の下、選ばれてきた三ケ日。安全を確認した上で豊橋の中学生が利用を再開することは歓迎したい」と西野さんの父友章さん。同青年の家は本年度、浜松市、豊橋市、長野県飯田市の中学生が夏休みに友好を深める三遠南信交流推進事業の会場に決定した。事故以来、豊橋市の中学生が同所で海洋活動を行うのは初めてで、城田守所長は「大きな一歩。学校側と協力体制を強固にし、体験学習を通じ、花菜さんを亡くした西野さんの思いを伝え続けたい」と話す。

 

 ただ、友章さんは肝心なのは学校側の意識だと強調する。「守るべき子供をただ施設に預けて責任転嫁するような姿勢であれば事故前に戻るだけ。三ケ日を使うに当たっては過去に何があり、どういう教訓の下に、学校の役割とは何かーという反省に立った上で利用してほしい」と求める。 

 

 校長会で三ケ日への復帰の意識などを呼び掛けてきた豊橋市の山西正泰教育長は「事故があった場所で活動を再開することが、真の再発防止につながる。今後学校ごとに良い形で三ケ日に戻り、豊橋の学校にしかできない命の教育を展開できたら」と言葉に力を込める。

 

 三遠南信交流は7月30日、31日の両日、浜名湖から57校、豊橋市から23校、飯田市から8校の中学生が参加。安全性能が高いダブルハルカヌーの乗船体験を実施し、交流会で「命の大切さ」を話し合う。