静岡県教委、来年度から5年10ヶ月ぶりに海洋活動を再開する方針を固めた。


 

先日、木苗静岡県教育長の弔問を受けました。花菜の祭壇に手を合わせた後、三ケ日青年の家での海洋活動の再開を検討している旨を私に伝えてきました。事故を引き起こした組織として、以前から様々な事故の教訓を生かした訓練に取り組んでいる報告を受けています。

 

私は、ここで開催された自然体験学習で娘を亡くしてしまった父親ですが、野外活動教育はやはり必要だと感じています。ただ、安全最優先の決意をどのように継続させていくか、県教委だけではなく、施設や利用者、地域などこの活動にかかわる各々が、主体性をもって取り組んでほしいと思います。

 

教育長室に設けられた、遺族発信の資料掲示場、組織が変わっても伝え続けてください。

確かな安全管理を確立して、全国の安全モデルを目指してください。

花菜のいのちを生かしてください。

 

西野友章

 


<静岡新聞より引用>

海洋活動再開へ 三ケ日青年の家、事故から5年10カ月

2016年春、5年10カ月ぶりに海洋活動を再開する県立三ケ日青年の家=10日午前、浜松市北区

 静岡県教委は22日までに、浜名湖で県立三ケ日青年の家のボートが転覆し、愛知県豊橋市の市立中の女子生徒=当時(12)=が死亡した事故以来休止していた海洋活動を来年度から5年10カ月ぶりに再開する方針を固めた。関係者の話で分かった。安全対策や緊急時対応のマニュアルを策定して各種の訓練を重ね、安全に実施できる態勢が整ったと判断した。
 県教委は事故をめぐる刑事裁判の推移も考慮しながら、再開時期を慎重に見極めてきた。静岡地裁が11月に施設の元所長に有罪判決を言い渡したことを踏まえ、木苗直秀県教育長が今月19日に父親(56)を訪ね、活動再開の方針を説明、了承を得た。

 

県教委は運輸安全委員会の勧告を受けて策定した安全対策マニュアルで、気象条件に関する実施基準を明確化した。平均風速10メートル以上が想定される場合の活動中止などを定めた。緊急時対応マニュアルでは、ボートのえい航方法や手順を詳細に規定する一方、関係機関と連携して定期的に救助訓練を実施するとした。
 海洋活動を希望する利用団体に対する乗船者名簿の提出や研修会参加の義務付け、全ての活動艇への青年の家スタッフ乗船など、安全性を高めるための独自の対策も講じる。
 青年の家には現在、事故を起こしたボートと同型のカッターボート5艇があるが、県教委は今後、より安定性の高いアウトリガーカヌーの導入も検討し、安全性確保の徹底を図るとしている。

 ■安全管理のモデルに―女子生徒の父
 亡くなった女子生徒の父(56)は21日、愛知県豊橋市の自宅で、県立三ケ日青年の家に対し「安全管理の大事さを示すモデルのような施設になってほしい」と語った。

 海洋活動の再開について「浜名湖の自然を生かす体験を通じて、子どもたちが何かを感じることは必要と思う」と話し、静岡県教委や青年の家に安全管理の定期的な見直しや、利用者への危機意識の啓発を望んだ。

 ただ、「事故を二度と起こさないという覚悟を現場が10年、20年後も持ち続けられるのか」とも述べ、風化への懸念は拭えないでいる。
 事故を振り返り、青年の家の運営主体が県教委から指定管理者に移る際の不十分な引き継ぎや、悪天候の中の出航、配慮を欠いたボートのえい航などを挙げ、「マニュアルが整っても最後の判断は人がする。異動などで人員が替わっても安全最優先の意識を維持できるのか」と不安を口にした。

 <メモ>浜名湖のボート転覆事故 2010年6月18日午後、県立三ケ日青年の家(浜松市北区)で野外体験中だった愛知県豊橋市の市立中の1年生18人と教員2人が乗ったカッターボートが天候不良で航行不能となり、救助艇にえい航された際に転覆。ボート内に閉じ込められた女子生徒が死亡した。静岡県警は13年、事故当時の所長や校長、県教委課長ら6人を業務上過失致死容疑で書類送検。静岡地裁は今年11月、元所長に禁錮1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。残り5人は不起訴処分になった。

                           

 <引用おわり>